アンティークコイン　サンクチュアリ

1509-26 イギリス ヘンリー8世エンジェル金貨【MS62】のご案内になります。

表面には大天使ミカエルが竜を打ち倒す勇壮な姿が描かれ、当時の信仰心と王権の象徴を兼ね備えた名品として知られています。

直径：約29 mm
重量：約5.12 g
種別：ハンマーコイン

鑑定番号（NGC）5710292-004

ヘンリー8世（Henry VIII, 1491年6月28日～1547年1月28日）は、チューダー朝第2代の国王で、1509年から1547年まで在位しました。

（ヘンリー8世）

父：ヘンリー7世（チューダー朝初代の王）
母：エリザベス・オブ・ヨーク（ヨーク家の血筋）
死後：息子のエドワード6世がわずか9歳にして即位

ヘンリー8世は「気まぐれな離婚問題のために国教会を作った王」と単純に語られがちですが、実際にはヨーロッパの宗教秩序を根本から崩し、ハプスブルク＝教皇連合の覇権に挑戦した存在でした。

「気まぐれな離婚問題のために国教会を作った王」といわれる所以は、6度の結婚歴の中でも1番目の「王妃キャサリン・オブ・アラゴンとの結婚を無効にしたい」という要求がローマ教皇に拒否され、教皇と決裂し国王を首長とする「英国国教会（アングリカン・チャーチ）」を成立したことから、になります。

●キャサリン・オブ・アラゴン – スペイン王女。離婚。娘メアリー1世を出産しました。
●アン・ブーリン – エリザベス1世の母。国王と対立し処刑されます。
●ジェーン・シーモア – エドワード6世の母。出産後まもなく病死しました。
●アン・オブ・クレーヴズ – 政略結婚でしたが不仲で離婚しました。
●キャサリン・ハワード – 不倫を理由に処刑されました。
●キャサリン・パー – 最後の王妃でヘンリー8世より長生きしたそうです。

王権を強化し、議会を利用しながらも自らの意志を強く反映させ、修道院財産の没収により貴族層や王室の富が増えました。

結果的に宗教改革を推し進め、後のイギリスのプロテスタント化に道を開き、娘エリザベス1世の時代にイギリス黄金期を迎える基盤を築きました。

ヘンリー8世はカトリックからの離脱と英国国教会の成立、6度の結婚などで歴史に強烈な足跡を残した王であり、その治世の金貨は世界中のコレクターから高い人気を誇ります。

エンジェルは、イングランドの金貨の貨幣単位で、リチャード2世（1367-1400）の治世下で流通が始まったのが原点になります。
この時は、船上の王が剣を右手に、楯を左手にかざした姿が描かれていました。

その後は、下記の王、女王たちによって発行されました。

この頃は、ドラゴン退治、王がいない船が描かれました。
・エドワード4世（1461年 - 1483年、但し1470年から1471年にかけて数か月の空白）
・リチャード3世（1483-1485）
・ヘンリー7世（1485-1509）
・ヘンリー8世（1509-1547）←今回のコイン
・エリザベス1世（1558-1603）

エンジェル金貨という名前は聖天使ミカエル（天使＝エンジェル）が ドラゴン（悪魔）を退治するデザインが用いられたことが由来です。
このエンジェル金貨は、ノーブル金貨の代替法定通貨として発行されました。 

ご案内中のヘンリー8世エンジェル金貨も、約500年前に鋳造された中世・ルネサンス期の金貨としては非常に保存状態が良く、ディテールも鮮明に残されています。

--- オークションレコード -----
※公開時の為替で計算しています。

2022年8月　AU58が約215万円で落札歴あり
13,200ドル（BP込）×1.1×148円=2,148,960円

2023年5月　AU53が約127万円で落札歴あり
7,800ドル（BP込）×1.1×148円=1,269,840円

2023年5月　MS62が約254万円で落札歴あり
15,600ドル（BP込）×1.1×148円=2,539,680円

2023年8月　MS62が約293万円で落札歴あり
18,000ドル（BP込）×1.1×148円=2,930,400円

今回は、オークションレコード価格レベルでのご案内とさせていただきます。

残存するエンジェル金貨の中でもMSの評価を受けている同金貨はNGCで48枚、PCGSで6枚の計54枚とごく僅かであり、コレクターの方が手放さないため市場に出てくることは非常に稀です。

歴史的威厳と芸術性を兼ね備えた逸品で、コレクションの中核を担うにふさわしい一枚です。